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【コラム5】 「マイクに口が触れた瞬間に”バチッ”

マイクに口が触れた瞬間に”バチッ”っとなったことはないでしょうか?
今回はその原因と対策について書いてみたいと思います。

結論から言ってしまうと、考えられる原因は2あります。
1つ目は「静電気」です。
2つ目は「アースが浮いている状態」のためにおこります。

それでは、この2つの原因と対策についてもう少し詳しくみてみましょう。

1.静電気の場合
原因
着ている衣服の擦れなどで体内に静電気がたまります。
その状態で、体が金属など電気の伝えやすいものに触れると、
静電気はそっちに流れます。その時に触れた先端部が痛く感じるわけです。

冬の方がおきやすいですが、基本的に一度なってしまえば、2度目からはマイクに口が触れても”バチッ”っとならないはずです。(その間に静電気がたまってしまえば話は別ですが。)
対策
カギなどを持ち、1度金属に触れて静電気を流してしまいましょう。
(カギの先端から流れるので痛くないはずです。)
特に冬、静電気のたまりやすい服装などをしている人は、時間をあけて何回かやったほうがいいかもしれませんね。


2.アースが浮いている状態の場合

こちらの状態の時は問題です。
マイクに何度口をつけてもびりっとくる。そんな時は、場合によっては非常に危険な状態です。

と言われても、ピンとこない方もいると思いますので、必要なことから順をおって説明します。


<アース(グランド)とは?>

はじめにアース(グランド)とは、「0V」とか「0Vの所につなぐ」ということです。

訳すと地球・地面・大地という意味ですが、その地球の地面が持つ電圧(電位)を0Vと人間が決めたわけです。
(電圧の基準とします)
よって、基本的にアースとは「地面の電圧」「地面につなぐ」などということですが、実際に音響機器を直接地面につなぐことはないので、同じ「0V」や「0Vのところにつなぐ事」をアース(アースをとる)と呼びます。

洗濯機や冷蔵庫などで、電源ケーブルとは別に緑の電線がつながれてるのを見たことはないでしょうか?
その緑の電線が「0V」のところにつながっているのです。(アースをとっている状態です。)


<音響機器のグランド>
次に音響機器についてです。
音響機器を作る場合でも、グランド(0V)になる基準場所を決めて設計をします。
一般的には人が触ることのあるシャーシ(ケース)がグランドとして設計されています。
なぜかというと、仮に人が触る場所に100Vが流れるような場合、触ったとたんに感電してしまい危険だからです。

というわけで、
音響機器は100Vのコンセントにケーブルをさして機器を駆動させる・・・にもかかわらず、人が触れるところはちゃんと安全なように0Vとなっている。
この0Vの場所(シャーシ)が音響機器のグランドということです。


つづいて具体的な例を見ていきましょう。

マイク・・・ボディが基準(0V)
パワードミキサー・・・シャーシが基準(0V)
スピーカー・・・コールド端子が基準(0V)

接続していないマイク・パワードミキサー・スピーカーがあります。
この場合、それぞれに基準のグランドがあり、それぞれが相対的に0Vになっているはずです。


ですが、地面の電圧(0V)と同じ電圧になるように設計しようとしても、なかなかどうして、うまくいかないこともあり、実際は全て同じ電圧(0V)にならないこともあります。

そう極端に違う電圧ということではないですが、全く同じではないのです。

システムの基準が成立(グランド電圧一定)

それでは、これらの機器をホット(+)、コールド(-)、グランドでつないでみましょう。

すると、それぞれのグランドがつながれ、個々にあった基準がこの音響システムの基準として、ひとつになります。

先ほど述べたように、個々の基準がそれぞれ違う電圧だったとしても、高い方から低い方へと流れ、それぞれが同じ電圧にキープされるということです。

システムの基準が成立(グランド電圧0V)

さらにアースをとって地面へとつないであげれば完璧です。
システムのグランドは地面と同じ0Vに保たれ、安心して使える状態になるわけです。

マイクのアースが浮いている状態


さて、これを踏まえてこんな場合はどうでしょう。
マイクとパワードミキサーのグランドがつながれていない状態です。

例えば、この状態でマイクを持ちながらパワードミキサーを操作したとします。
もし、マイクのボディパがワードミキサーのシャーシより高い電圧だった場合どうでしょう。
電圧の高い方から低い方へ・・・。
そうです、場合によっては感電してしまう可能性があります。

このように、本来0Vであるはずのグランドが、電圧を持っている状態を「アース(グランド)が浮いている状態」と言います。



これで、「アースが浮いている状態」とはどんな状態かわかったと思います。
また、危険な状態というのも「感電する可能性がある」ということだともわかってもらえたと思います。





つづいてシステムが2つの場合を考えてみましょう。
先ほどと同じくマイク・パワードミキサー・スピーカーという音響システムと
ギターアンプ・ギターという2つのシステムの場合を例にしましょう。

それぞれ2つのシステムはグランドをつなぎ、システム内での基準(グランド)は一定にしてあるとします。

しかし、これだけでは安全とは言えません。

どういうことかというと、
この2つのシステム同士がつながれているわけではないので、2つのシステムで電圧の差が生じる可能性があります。
仮にギターアンプのシャーシに5Vの電圧がかかっていた場合、
当然ギターを持っている人間にも5Vの電圧がかかっています。

それだけでは特に問題にならないのですが、(濡れた素足で地面に立っていたら話は別ですが・・。)
ギターをもっている人がマイクに口を近付けると、電圧の差により高い方から低い方へと
電気が流れてしまいます。
唇が濡れた状態なんかだと、抵抗が低くなって流れる電気(電流)は更に大きくなってしまいます。
(昔、これで死んでしまった人もいるようなのであなどれません!)

では、どうすればいいのかというと。
2つのシステムのグランドをつないであげれば、電圧の差はなくなり安心して使える状態になります。
ただ、実際バンドで練習をする際には、他にもベース、さらにもう1本ギターを使用、などということもあるので、それらを全部つないでいては配線が大変で面倒なことになってしまいます。

そこで登場するのがアースです。
各システム毎にアースをとって、グランドの電圧を0Vにしておけば、電圧の差がなくなり
安心して使える状態になります。




さて、話を戻しまして、、、。

アースが浮いている状態」の原因についてですが。
そうです、グランドをつないでいないアースをとっていないために生じます。
また、対策グランドをつなぐアースをとることで解決されます。

きちんとグランドをつなぎ、アース(0V)をとっているシステムの中でマイクを使用すれば、
マイクに触れたときに何度も”バチッ”となることはない、、はずです。



以上、マイクに口が触れた瞬間に”バチッ”
の原因と対策でした。

感電には気をつけましょう!

【ご注意】 感電にご注意下さい。
スタジオsus4では各アンプでアースをとっておりますが、
持込のアンプや機材をご使用になる場合、
電位差が発生する場合がございます。
感電には十分ご注意下さい


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